イングリッシュ・ナショナル・バレエ「コッペリア」8日マチネ

入り口に「大入」の表示が出てましたが、これって、売り出しの時のキャストがアリーナ・コジョカルだったので完売になっていたんでしょう。

その後、コジョカルが妊娠のため出演できなくなって、それから大量のチケットが売りに出されていました。

私は「海賊」しか買ってなかったけれど、やっぱりコジョカル好きだったのでとっても残念でした。

が、「海賊」というバレエ自体が好きな演目だし、代役がコチェトコワならまあまあかなと。

コッペリア」のほうは何となくいいわ‥と思って買わなかったんですが、その何となくというのは今考えるとあまり根拠がなく‥‥もしかして、代役になるかもという予感が当たったのかも

コジョカルというバレリーナは、とっても可憐でかわいいだけでなく、テクニックもすごくて、その上表現力も抜群‥‥それだけならバレリーナとしては最強?(テクニックも表現力もあるけど可憐さがないという人が多いから・笑)という感じだけど、いかんせん怪我が多くて、私もこの10年、何度ふられたことか(笑)

だから演目的に興味のある「海賊」しか買ってなかったのかな。

コッペリア」のほうは代役が日本ではほぼ無名のバレリーナ、しかもコッペリアは初役?

じょーだんじゃないわと私の友達も怒ってましたが、そのせいか「海賊」以上にチケット手放す人が後を絶たず、オケピなどにもすごくいい席が結構安く出ていたりして、さすがの私も、これは買いかな?と思い始め、結局買ってしまったんですけど(笑)

でも、見てやっぱりコジョカルで見たかったわと思っちゃった

代役のユルギータ・ドロニナはロシア生まれのようですが、活躍の場はスウェーデンやオランダ、カナダなどのバレエ団で、イングリッシュ・ナショナル・バレエは、最初代役が決まったときはゲストの形だったけれど、その後、先月後半になってリード・プリンシパルとして入団ということになったそうです。

小柄で顔が小さく、踊りはきびきびとしてシャープな踊りをするいいバレリーナと思いましたが、いかんせん、優雅さ(たとえ町娘でもね)や主役オーラが足りない。

それとお芝居がわざとらしい、っていうか、スワニルダ役は典型的なパターンがあるので難しく、誰がやってもツンツンしてて気が強くて結構嫌な女なのよね(笑)

だからこそかわいくて純粋なイメージのコジョカルがどう演じるのか見てみたかったな〜。

フランツ役のセザール・コラレスキューバ出身の20歳!

が、20歳には見えん(笑)

顔が濃すぎて決してイケメンとはいいがたく、雰囲気は割と大柄に見えるけど、イングリッシュ・ナショナル・バレエの男性ダンサーはみんな目を見張るような長身ぞろいで、その中に入るとちょっと小さい感じ。

ただ、踊りはとても元気よく、ドロニナ同様とてもシャープで切れのある踊りを見せてくれました。

踊りはやっぱり群を抜いてましたよ。

それにフランツ役としてもかなりのチャラ男っぷりで、そんなしょーもない男でも憎めないのはラテン系の明るさと愛嬌があるからか。

コッペリア」はお話的にはあまり好きではないのです。

だって、これってフランツは家宅侵入罪、スワニルダ一行は家宅侵入罪の上に器物破損罪、そしてコッペリウスに至ってはまかり間違えば殺人罪ですよ(爆)

特に今回は、怪しげな黒魔術風でななくて、もっと危ないわけのわからない機械が登場し、手足に電極をつないで電気ショックを与えてましたからね

イギリス風のジョーク?

(電気ショックのたびにダンサーが透けてガイコツが見えるようなマンガ風のイメージ?)

ユーモラスだけどやりすぎって感じ。

それに、家に勝手に入り込んで大事な人形たちを散々に壊し、コッペリウス老人の夢まで壊したことに対しては、ごめんなさい、とあっさりお金で解決(爆)

まあ、殺されなかっただけよかったというか、お互い様なのか(笑)

あと、老人をばかにしてよってたかっていたぶる青年たちとか(泉の水に顔を突っ込ませちゃうなんて、殺人未遂もいいところ)町の人みんなでやる頭に指をあててくるくる回す動作とか、教育的にもよろしくない。

それでも、指揮者が入って前奏曲が流れ始めると‥‥そうだ、このドリーブの音楽がすごくいいんだ!というのを思い出しました。

先月見たボリショイの「パリの炎」は面白かったけど、使われている音楽が全然よくない。

それからすれば、何と素晴らしい音楽で彩られたバレエなんでしょう!

「シルヴィア」にしても「コッペリア」にしても、ドリーブ作曲のバレエ曲は、色彩や空間的な大きさを感じさせる重厚なオーケストレーションがいいですね。

古代モノの「シルヴィア」ならぴったりだけど、こんなチャラい「コッペリア」のようなお話にこの音楽は本当に贅沢(笑)

幕が開くと、舞台セットの豪華さに目を見張りました。

左右に二階建ての家、左手前には石づくりの泉、右奥には酒場のテラスと、舞台が狭くなるほど物が乗ってます。

衣装も美しくてかわいい。

一方、踊っている人々はまるで人種のるつぼ。

一体どこの国のバレエ団?というほど、西洋人少なし(笑)

東洋系、南米系多し、黒人も何人か。

ABTも人種がさまざまだけど、東洋系はそんなにいませんよね。

それが日本人なのか韓国人なのか、はたまた中国人なのか、わからないけど多数。

キャスト表にも日本人の名前が数名載ってましたが、コールドも含めるともっといるのでは。

上手の家の二階バルコニーでは、コッペリウスが人形のコッペリアを出してきて、丁寧にホコリを払ったり油をさしたりしています。

そこへ向かいの家からスワニルダが出てきてコッペリアに挨拶するも、コッペリアは無視して本を読み続けています。

無視されたスワニルダは怒ってしまうという、有名なシーンですね。

その後フランツが来て、降りてきて踊ろうとかいろいろ言ってますが、コッペリアに投げキッスをされてぼーっとなっています。

それを見たスワニルダはプンプン。

それにしても、フランツに水をぶっかけちゃうお友達はひどすぎる(笑)

その後市長が現れ、仲たがいしている二人に麦の穂を渡します。

この音が聞こえれば相手の思いは誠実‥‥なのに誰にも音が聞こえない。

やっぱりあんたが悪いのよ!と、ポイッと麦の穂を投げるスワニルダ。

その後村人たちが集まってチャルダッシュ大会。

これ、普通は村人とチャルダッシュの踊り子(この町に来てチャルダッシュを踊る)は違う人たちですよね。

それが、全部同じ村人のようなのでその辺も「一体どこの国の話?」なのでした(笑)

チャルダッシュを踊る人は赤いブーツだったので、そこで区別されていたのかな。

そして踊るうちにいつの間にか二人は仲直り。

2幕はコッペリウスの工房。

中はまるで廃屋のお化け屋敷(笑)

これもやりすぎ感が。

おもちゃ箱のような家だったら興味津々ということもあるけど、こんなところに忍び込むなんて、スワニルダたちはよほどの悪趣味。

家の鍵をなくし、ドアが開いていることに驚いてコッペリウスが戻ってくるとみんなちりぢりに逃げていきますが、スワニルダだけは人形のコッペリアの衣装を着てコッペリアになりすまします。

その後、忍び込んできたフランツに、コッペリウスは眠り薬を飲ませて眠らせてしまいます。

それから、コッペリア人形(実はスワニルダ)を出してきて怪しげな機械の電極に二人をつなぎ電気ショックを

こんなことされたら普通怖くてスワニルダは逃げますよ。

逃げないのが不思議(笑)

殺される〜!

それでも気丈にフランツを助けようとしますが、コッペリウスに促され、スペイン人形の踊りやスコットランド舞踊?を披露するスワニルダ。

そのうちに、窓の外の友人たちに合図してみんなが助けに来るというのがほかとちょっと違うところだったかな。

3幕は、1幕のセットと同じで、ちょっと‥‥でした。

コッペリア」の3幕は普通、広場に「鐘」が設置される記念のお祭りで、「鐘」にまつわる1日のさまざまな情景が踊られる場面なのに、肝心の「鐘」は出てこないし、それぞれの踊りも特別な衣装などはなく色違い程度、村人の誰かが交代で踊る感じなので、ごちゃごちゃであまりよくなかった‥‥。

「時」は12人出てたけど、「曙」は一人、「祈り」も一人(祈りは通常一人)「仕事」は4人だけど持っている鎌と糸巻きが小さくて何の踊りなんだか。

それに男性ダンサーの見せ場の「戦い」の踊りをフランツが踊るんですよ。

これから出陣する兵士の勇壮な踊りなのに、あのチャラ男が(爆)

そして、何の区別もなくいきなりスワニルダのヴァリエーションが始まり、平和のパ・ド・ドゥが踊られ、そしてなし崩し的にコーダとなる‥‥でもやっぱり、音楽がいいので最後は盛り上がって楽しいね、コッペリアは。

ラスト、コッペリウスがバラバラになった人形の手足を持ってきて、市長にこいつらがやったと訴えるも、前述のとおりお金をあげてごめんなさいで終わり(笑)

まあ、いつもながらあまり感動の残らないノー天気なバレエでした。

そんなわけでENBの日本公演が始まりましたが「コッペリア」は土日の二日間、3公演で終わり。

私はまた最終日の「海賊」に行きます。

コジョカルは本当に残念でしたね。

彼女が踊れば、たぶんスワニルダはただの嫉妬深くて意地悪な女じゃなかっただろうし、麦の穂の踊りももっと情感たっぷりに踊ってくれたと思うし‥‥そうなの、今回のペアって、全然恋人同士に見えないんですよ(爆)

喧嘩してても気になる彼氏ってところが薄かったです。

あと、たぶんコジョカルなら、自分の好奇心からコッペリウスの夢を壊してしまったことに対して、もっと気遣いある演技をしていたと思うのです。

コジョカルってそういうダンサーです。

たとえステレオタイプの演技をしなくちゃいけない中でも、そういう彼女らしい優しくて繊細な何かがキラッと入ってくる、本当に「かわいい」バレリーナなんですよ(涙)

またの機会を期待して、「コッペリア」の感想でした。